ABCマートの強さは、「目立つ看板」や「張り巡らせらた店舗網」、「元気な接客」などの表層から推察できないビジネスモデルとしての強さがある。
そのABCマートの強さとは、靴を仕入れ販売する小売業(セレクトショップ)だけでなく、商品の企画から製造、販売までを一貫してコントロールする製造小売(SPA)をミックスしたの靴版のセレクトSPAというビジネスモデルにある。
靴に関してこのセレクトSPAを確立している会社は少なく、これがABCマートの強さが引き立つ理由である。
面白いのは、自社の製造小売に関してはABCマートはABCマートというブランドで靴を作っているわけではない。VANS(バンズ)、ホーキンス(G.T.HAWKINS / GTホーキンス) という強力なブランドを使って行っている。これも強さを増している理由だ。
また、製造小売で重要な小売力(=商品管理能力+[店頭力=販売力])も強く、さらに商品そのものにも強いブランド力があるという2つの力が、ABCマートの強さだ。
今回は、「不況下でも強いビジネス」と評されるABCマートとそのオリジナル商品であるVANS(バンズ)、ホーキンス(G.T.HAWKINS / GTホーキンス) をインディケ!
。
■ ABCマートの強みはバンズ(VANS)、ホーキンス(G.T.HAWKINS / GTホーキンス)という自社商品
ABCマートは、強みは強力な自社商品を出せることにある。といっても、ABCマートのロゴが入った靴ではないことはすでに書いた。
スニーカーブランド(特にスケボーシューズなどが有名だ)として有名なバンズ(VANS)と歴史があるブリティッシュ ブーツ ブランドであるホーキンス(G.T.HAWKINS / GTホーキンス)のブランドを使って自社企画商品が出せるのだ。
これは、バンズ、ホーキンスと、日本でのブランド商標使用権を獲得しているためである。ホーキンスに至っては、1995年に英国ホーキンス社を買収しているので、現在、ホーキンズブランド下でシューズを製造できるのはABCマートだけとなる。
バンズに関しては、アメリカで生産された海外物のバンズと日本での独自企画であるバンズ(通称 ABCマート バンズ)と2系統ある。
これは、英バーバリー社のライセンスを持つ、三陽商会のバーバリーブラックレーベル、バーバリー ブルーレーベル(通称、サンヨー バーバリー)と同じように、ライセンサーとして商品を独自に企画できる権利を持っているからである。
いずれにしても、このバンズ、ホーキンスブランドの使用権を保有していることがABCマートの強みでもある。
もちろん、ABCマートが扱っているのは、この2つのブランドだけでなく、さまざな靴ブランド(例えば、NIKEやプーマなど)を扱っているため、アパレルで言うセレクトSPAという業態に近い。
しかし、ABCマートを支えているのはこういった自社企画商品だ。現在の売れ筋は、ホーキンスのヒールスニーカーであり、昨年は、バンズのムートンブーツ、ホーキンスのムートンブーツであったのだ。
■ 管理が難しい靴屋の乗り越えるABCマート
また、ABCマートが強いといわれているのは、在庫管理能力である。
特に靴屋は、アパレルに比べて在庫管理が難しい&重要といわれている。その理由は「サイズの多さ」と「サイズ欠品による売上げロスの可能性の大きさ」ということが上げられる。
アパレルは、ベーシックの「S、M、L」の3サイズ展開に加えて、「XS、XL」程度のサイズ展開で済む。これに対して、靴は、24.0 cmから28cmまで、0.5cm刻みでサイズを用意するとすると、9サイズを管理しなくてはいけない。
これに色も展開しなくてはいけないため、管理する商品数が膨大だ。
これに加えて、多少サイズが合わなくても接客で乗り切れる可能性があるアパレルと違い、顧客の靴に関するサイズの要望は厳しい。逆にいうとこれが小刻みに多数のサイズを用意しなくてはいけない理由でもある。
そのため、在庫管理が靴の小売ビジネス上非常に重要となる。ABCマートは、古くから先進的な在庫管理に定評があり、バーコードシステムなどのIT化にも積極的だ。
それ以外にも、同じ地域にある店舗間での在庫流通も積極的に行い、商品管理という問題に関しても死角はない。
その上、ABCマートの一つの特徴が気合が入った元気接客でもある。
このように、
・ 商品力(特に、自社企画であるバンズ、ホーキンス)
・ 商品管理力+小売り力
に強いABCマートにはビジネスとして死角がないといわれている。
■ まだまだ伸びるぞABCマート
ABCマートは、靴の流通企業としてはすでに最大手だ。東証一部にも上場し、2009年2月期の売上は、973億円であり1000億企業まで、あと一歩だ。営業利益も202億と、営業利益率はなんと20%もある。
これは、小売りではなく小売り+製造小売りのセレクトSPA業態であるからこそ実現できる数字だ。小売りの優等生といわれるしまむらでも営業利益率が8%程度(2009年2月期)のことからもわかるだろう。SPAの優等生であるポイントでも18%程度であることから、これは驚異的な数字である。
ABCマートは、現在も積極的に出店しており、まだまだ売上の伸びがあるとされている。今後のABCマートのビジネス=株価にも注目だ。
関連タグ:ABCマート,渋谷,2009年8月UPコンテンツ
ネット通販情報:
紹介したインディケ!スポットVANS、ホーキンズをチェックするなら若者のファッションの震源地へ ABCマート 渋谷店 -
場所はこちら